相続放棄の理由

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2021年03月26日

1 相続放棄をする理由・動機に制限はない

 相続放棄をする理由・動機は広く認められています。

 最も典型的な理由は、被相続人に資産がないか非常に乏しいのに対して、大きな負債が存在している場合(いわゆる債務超過)が挙げられます。

 もっとも、これ以外の類型として、生前に被相続人から充分な贈与を受けているということや、風習・慣例などにより特定の相続人に遺産を集中させる、あるいは他の相続人や親族と関わりたくないため相続関係から離脱する、というものがあります。

2 債務超過

 相続放棄の理由に債務超過を挙げられる方は非常に多いです。

 具体的には、亡くなられた方が貸金業者に借金をしていたケースや、税金等を滞納していたケースがあります。

 実際には、被相続人と疎遠であったり、生活状況を掴めていないために、どこにどのような負債を持っているかわからないということも多いです。

 負債の存在が明確でない場合であっても、相続放棄は有用です。

 仮に後で具体的な債務が明らかになったとしても、債権者に対して相続放棄をした旨を伝えれば済みます。

3 生前に多額の贈与を受けている

 生前に多額の贈与を受けている場合、仮に相続の手続において、自己の相続分を主張すると、他の相続人とトラブルになる可能性があります。

 贈与の内容によっては、特別受益分となり、相続分の調整が必要になります。

 このような状況に陥ることを防止するため、贈与を受けている人が相続放棄をするということがあります。

4 特定の相続人に遺産を集中させる

 風習や慣行によっては、家業を継ぐ相続人に全ての財産(負債も含む)を集中させるということがあります。

 そこで、その他の相続人全てが相続放棄をするというケースもあります。

 プラスの財産については、遺産分割協議でも同じような効果を発生させることができます。

 しかし、相続債務については遺産分割協議により特定の相続人が全て負担するとするだけでは足りず、債権者を相手に免責的債務引受契約をしなければならないという煩雑さがあります。

 そのため、相続放棄をした方が迅速かつ確実に特定の相続人に財産を集中させることができます。

5 相続関係からの離脱

 何らかの理由によって他の相続人と関わることが難しい場合や、問題のある相続人がおりトラブル回避のため遺産分割協議をしたくない場合など、相続に関わらないようにする手段として、相続放棄手続を使うことができます

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